理学療法士の海馬

新人理学療法士だった僕に伝えたいこと

パーキンソン病に対する運動療法の効果機序

 

 

パーキンソン病とパーキンソニズム

パーキンソン病

 中脳黒質層にあるドーパミン神経の変性・脱落や,脳幹部におけるレビー小体(α-シヌクレインの集合体)の蓄積を特徴とする.線条体でのドーパミンの遊離が減少するが,ドーパミン受容体は残存している.

 

 

パーキンソニズム

 多系統萎縮症(線条体黒質変性症),進行性核上性麻痺,大脳皮質基底核変性症,血管性パーキンソニズムなどは,ドーパミン受容体が変性・脱落する.

 

L-ドパの効果

 パーキンソン病ドーパミン受容体が残存しているため,ドーパミンの前駆物質であるL-ドパを補充することが効果的.一方で,パーキンソニズムに関しては,ドーパミン受容体が変性・脱落しているため,L-ドパは効果的とはいえない.

 

運動療法の効果機序

 BOLD信号にて評価した神経細胞の活動は,力の発生に伴い特定の大脳基底核・腹側視床・運動野で増加することが知られており (Spraker MB, J Neurophysiol, 2007) パーキンソン病患者においても確認されている (Spraker MB, Hum Brain Mapp, 2010) .また,パーキンソン病患者では,TMSで評価する皮質脊髄路の興奮性が低下していることが報告されている (Valls-Sole J, Neurology, 1994) .健常者では,筋力増強練習によって皮質脊髄路の興奮性が高まることが報告されている (Kidgell DJ, J Strength Cond Res, 2010)

 そのため,高強度の筋力増強練習によって,大脳基底核皮質脊髄路の可塑的な変化が誘導され,運動機能の改善につながる可能性がある.