理学療法士の海馬

新人理学療法士だった僕に伝えたいこと

ホットパックの使い方

 minimalzuhの見解
教科書的なホットパックの効果は疼痛緩和、軟部組織の伸張性改善である。
以下は、ホットパックの効果が示されている文献
 
腰痛:推奨グレードA エビデンスレベル2
 腰痛に対して浅部の温熱療法は、急性ならび、亜急性の腰痛に対して有効(French SD. Cochrane Database Syst Rev 25.)。
 
肩関節周囲炎:推奨グレードB エビデンスレベル2
 ストレッチ単独と比べると、浅部温熱(ホットパック)+ストレッチの方が効果的。しかしながら、深部温熱の方がもっと効果的(Leung MS. J Rehabil Med, 2008.)。
 
膝OA:推奨グレードC1 エビデンスレベル2
 湿熱ホットパック群は,施行前と比較して,2 週後,4 週後で有意にWOMAC score が改善。乾熱ホットパック群は,有意な改善なし。JOA score では,歩行能力に関して,湿熱ホットパック群のみ有意に改善(Seto H. J Orthop Sci, 2008.)。 
・ ホットパックは、VASとWOMAC scoreを改善するが、歩行距離は改善しない(Evcik D. Joint Bone Spine, 2007.)。
 
このように見ると、腰痛以外に効果はなさそうな。。。
 

疼痛閾値上昇と、末梢循環の改善が主な作用

・温熱により末梢血管の拡張し、血行改善→疼痛物質の発散
・Aδ・C線維の閾値向上(前田真治. 日温気物医誌, 2000)
 

施行時間は長い方が良さそうだが、痛みに合わせて漸減を

参考文献:松澤, 群馬パース大学紀要, 2007 
 
皮下血流量は時間が増すごとに増えるため、 時間をかけるほど末梢循環は改善する。
疼痛が強い間は、時間をかけてホットパックを行い、患者の様子を見ながら施行時間を漸減。徐々に運動療法に移行するのがいいだろう。