理学療法士の海馬

新人理学療法士だった僕に伝えたいこと

理学療法士が知っておきたいペースメーカーの知識

 

モードのアルファベッドが意味するもの


ペースメーカーが挿入されている方は,ペースメーカー手帳を持っている.
ペースメーカーが入っている方を担当した時は,必ず目を通しているだろう.


モードには,AAIやVVI,DDDなどがあるが,このアルファベットにはもちろん意味がある.
◯1文字目:ペーシング(刺激)する部位
◯2文字目:センシング(感知)する部位
 A:心房 Artium V:心室 Ventricle D:心室+心房 Dual
◯3文字目:作動様式
 I:抑制 Inhibits Pacing,センシングしたら,ペーシングなし
 T:同期 Triggers Pacing,センシングに同期してペーシングを行う
 D:抑制+同期 Dual
◯4文字目:R rate response(自動心拍調整)機能

 *加速度センサー(体動を感知)や換気量センサーが組み込まれており,日常生活動作に合わせて,自動的に心拍数を調整してくれるものである.

 

各モードの適応

ペースメーカーには様々なモードがある.モードを知ることで,何故ペースメーカーを入れることになったのか知る手がかりになる.

 

DDD:ほぼ全ての徐脈に対応.リードを2本入れる必要がある.

AAI:洞不全症候群や刺激伝導系に異常のない患者に適応.

VVI:徐脈がまれにしか発生しない場合,心房細動に合併した徐脈(房室ブロックなど)に適応

VDD:洞結節の機能が正常な房室ブロック患者に適応 

 

DDDの設定

lower rate:心拍数の下限

upper rate:心拍数の上限

AV deley(房室伝導遅延時間):心房ペーシング後に,心室ペーシングを行う時間を設定

 

埋め込み型除細動器 (ICD: implantable cardioverter defibrillatior)

致死性不整脈心室細動心室頻拍など)がある患者に対して、予め除細動器を埋め込んでおくもの。

詳しい適応などに関しては、久嵜、日内会誌 、2017参照。

 

心臓再同期療法 (CRT: cardiac resynchronized therapy)

心不全が進行すると、房室伝導障害・心室内伝導遅延を生じ得る。

特に左脚ブロックでは、左室中隔と側壁の収縮タイミングがずれ(協調運動不全)、心臓のポンプ機能が大きく損なわれる。

CRTでは、協調運動不全をペーシングにて改善するものである。

これも、詳しい適応などに関しては、久嵜、日内会誌 、2017参照。

 

リードレスペースメーカー(MICRAなど)

従来のペースメーカー(リード有り)の問題点としては、

・合併症の多くがポケットやリードに関連する

・肩の運動制限

・美容上の問題

・上記のことによるQOL低下

が挙げられる。

 

MICRAの場合は、右心室に直接留置が可能であり、ポケットもリードもいらない。

そのため、合併症の減少やQOLの向上が期待される。

しかしながら、・現在は心室ペーシングのみである ・挿入時に、死亡を含む重大な合併症がある など、問題点も含んでいる。

 

ペースメーカー装着者への運動療法などに関しては,追記予定