理学療法士の海馬

新人理学療法士だった僕に伝えたいこと

ステロイドとリハビリ

 

ステロイドとは?

副腎皮質ホルモンの1つ.薬として使用すると,炎症を抑えたり,免役力を抑制する作用があり,いろいろな疾患の治療に使われている.

治療での使い方

経口ステロイド療法

プレドニゾロン(PSL)が使われることが多い.初期投与量PSL20~60mg/day程度で開始し,2~4週ごとに5~10mgずつ減量する.PSL20mg以下では,さらにゆっくり減量する.連日内服と隔日内服があり,隔日の方が副作用は少ないらしい.

ステロイドパルス療法

プレドニゾロン500~1000mgの静脈注射を3日間行うことを1クールとし,数週ごとに数クール繰り返す治療法.経過と症状に応じて,減量や投与中止していく.

 

ステロイドの注意事項

ステロイドホルモンは,PSLで換算すると,2.5〜5mgが生理的に分泌されているが,それ以上の量のPSLを長期に内服した場合,副腎皮質からのステロイドホルモンが分泌されなくなる.そのため,急に薬を飲まなくなると,体の中のステロイドホルモンが不足し,倦怠感,吐き気,頭痛,血圧低下などの症状が見られることがある.

 

副作用

感染症

体の免疫力が低下するため,感染症にかかりやすくなる.感染予防の薬を飲むこともある.

骨粗鬆症

骨密度が減少するため,予防薬として骨を守る薬を内服することもある.

糖尿病

ステロイドは糖を合成する働きを高めるため,血糖が上がるようになる.投与量が多いほど血糖が上がるため,食事療法を併用することが大切.

消化性潰瘍

消化管粘膜が弱くなるため,潰瘍が起きやすくなる.胃酸分泌を抑制する薬や胃粘膜を保護する薬を予防的に内服することもある.

血栓症

血小板の機能が亢進するため,血栓症が起こりやすくなる.予防的に血液サラサラの薬を内服することも.

精神症状

不眠症,多幸症,うつなどになることがある.軽い場合が多いが,頻度は高い.ステロイドの減量により,後遺症なしに改善する.
満月様顔貌,中心性肥満:食欲の亢進と脂肪の代謝障害より起きる.ステロイドの減量により改善する.

筋力低下

異化作用によって筋肉の細胞成分が分解され,筋肉細胞が線維化する病態.20mg/day以上内服している場合に多くみられ,減量と共に改善することが多い.


不整脈

大量投与時にリスク増大

 

副作用の時期

投与後数時間〜

高血糖不整脈ステロイドを大量に使用する場合に,出現リスクが高まる.

投与数日〜

高血圧,浮腫,不整脈高血糖精神障害.中等量(0.5 mg/kg/day)以上を投与する場合に出現するリスクがある.

投与1ヶ月〜

感染症,無菌性骨壊死,骨粗鬆症,満月様顔貌,ステロイド筋症,消化性潰瘍,高血糖がある.中等量(0.5 mg/kg/day)以上を投与する場合に出現するリスクがある.

投与3ヶ月〜

感染症、満月様顔貌、二次性副腎不全、骨粗鬆症脂質異常症動脈硬化白内障緑内障、消化性潰瘍、高血糖がある。少量であっても出現するリスクがある。