理学療法士の海馬

新人理学療法士だった僕に伝えたいこと

大腿骨近位部骨折の入院日数と予後予測

minimalzuhの見解

 

 

大腿骨近位部骨折患者の入院日数はこのくらい

大腿骨近位部骨折手術を行った患者の、転帰先ごとの入院日数を調べたものが以下の表である。(野口, 整形外科と災害外科, 2011

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野口, 整形外科と災害外科, 2011を元に著者作成
ちなみにこの研究において、受傷時に自宅に住んでいた方の自宅復帰率は79.0%とのことです。

術後1週間での歩行器歩行が可能であれば、高確率で杖歩行獲得可能?!

白井らによると、術後1週での歩行能力により、退院時の歩行能力が推定できるそうです(白井, 理学療法科学, 2015)。

大腿骨近位部骨折の患者を、以下の3群に分ける
平行棒以下:歩行困難、平行棒内歩行要介助、歩行器歩行要介助
歩行器:自力で10m以上の歩行が可能
杖以上:杖歩行または独歩が可能

各群の、退院時の歩行能力は以下のようになる。f:id:minimalzuh:20190122045714p:plain

白井, 理学療法科学, 2015より引用

また、杖歩行の可否を決める要因としては、年齢・栄養状態・認知症の有無・受傷前ADLなどが上げらられたとのことです。

歩行能力の伸びしろは、術後6ヶ月まで

Fukuiらによると、大腿骨近位部骨折者の歩行能力は、術後6ヶ月で約半数が骨折前レベルまで回復したが、それ以降の変化は乏しいとのことです(Fukui, J Orthop Trauma, 2012)。
逆に言えば、自宅退院後も術後6ヶ月までは、通所リハや訪問リハを行うことで歩行能力の向上が見込めるということですね。