3cmまでの脚長差は代償可能と言われる所以
神先らは、下肢長に0.5cm以上の脚長差を有しない健常成人男性4名に対して、人為的に脚長差を作り出し、脚長差が0, 1, 2, 3, 4, 5cmの6条件でフォースプレート上を歩行させた。
その結果、単位あたりの体重心の仕事量が、脚長差4cm以上において急激な増加(要するに、脚長差4cm以上において効率の悪い歩行になった)を示した。
また、竹井らは、脚長差のない健常な男性9名に対して、脚長差が0, 1, 2, 3, 4cmの5条件で、physical cost indexを測定。
その結果、脚長差4cmでは、脚長差なし・脚長差1cmと比較して有意にPCIが高く(歩行の効率が悪く)なることを示した。
これらの知見が今日における、脚長差3cmまでは代償可能!といわれる所以であろう。
実際には、脚長差3cm以内でもインソールを検討すべし
しかしながら、臨床的には、脚長差3cm以下にも関わらず、歩行に影響があることを経験する。下記は筆者の体験例。
76歳女性。左OAにより左膝に-20度の伸展制限あり。そのため、2cmの脚長差あり。インソールにて脚長差を解消した場合の10m歩行テストの結果は下記のグラフ(3回測定した平均値を採用)。
このように、代償可能な範囲といわれる脚長差であっても、解消することで即時的に歩行パラメーターの向上を認めた。
臨床で脚長差がある症例を担当したら、インソールの検討も有用なのだ。
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